2014-01-01から1年間の記事一覧

川村湊『原発と原爆 「核」の戦後精神史』

原発と原爆---「核」の戦後精神史 (河出ブックス)作者: 川村湊出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/08/02メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (6件) を見る 本書を読んだ。そいでamazonにレヴューを書いた。以下そのレヴュ…

2014, 10/19 エイシンヒカリと魔法がつかえないなら。

引き出しに散らばっていた、百円玉を9つ無造作に掴んでポケットに入れて、15時前に、府中の競馬場に着いた。 子どもたちと親たちがたくさんにぎやいで、なるべく誰にも見られないように、誰にも見られないように、スタンドへと消えていく。 目当ては、エイシ…

足元の耳で聴く、貝の歌――金子光晴、東南アジア的土着性、存在感情

「題名のない残念会」*1という友人が主催のラジオに参加させてもらい、金子光晴について少し語った。そこでは緊張と、緊張をはぐらかすためのお酒で、うまく言いたい事をいえなかったり、終わってすぐ気付くちょっとした間違いもあったこともあって、さらに…

シェイクスピア『オセロウ』

かつて書いた文章で、なぜかupしないままになっていたのがあったので、どうせなら、あげておく。以下。オセロウ (岩波文庫)作者: シェイクスピア,SHAKESPEARE,菅泰男出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1960/06/25メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 3回この…

一宮真佐子「マンガにおける農村の「性」とジェンダー――「むら」のファンタジー」(『セクシャリティの戦後史』京都大学学術出版会、2014年)

セクシュアリティの戦後史 (変容する親密圏・公共圏)作者: 小山静子,今田絵里香,赤枝香奈子出版社/メーカー: 京都大学学術出版会発売日: 2014/07/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る タイトルにあげた論文を読んだ。論文の分析対象は、197…

吉本隆明① 「民」と 父と母

吉本隆明全集〈6〉 1959-1961作者: 吉本隆明出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2014/03/15メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 自分の父は、1946年に福井で生まれて、1959年に中卒のまま、上京して、以後職を転々としたひとで、けれども30過ぎ…

「桑原甲子雄の写真」

世田谷美術館でやっている「桑原甲子雄の写真 トーキョー・スケッチ60年」*1に、友人と行った。 桑原は、その友人にも喫茶店で話したが、基本的に「物」の写真家で、たとえば30年代、戦争という政治的出来事を告げるのは、子どもの戦車のおもちゃだったりす…

『文化と社会を読む 批評キーワード辞典』

文化と社会を読む 批評キーワード辞典作者: 大貫隆史,河野真太郎,川端康雄,三浦玲一,近藤康裕,秦邦生,鈴木英明,遠藤不比人,越智博美出版社/メーカー: 研究社発売日: 2013/08/22メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (8件) を見る この著作…

ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ作品レヴュー 2『ある子供』

ある子供 [DVD]出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ発売日: 2006/06/23メディア: DVD クリック: 21回この商品を含むブログ (106件) を見る『ある子ども』は、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した2005年の作品。 (注意:このレヴューは、映画…

ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ作品レヴュー ①『息子のまなざし』

息子のまなざし [DVD]出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2012/03/23メディア: DVD購入: 2人 クリック: 2回この商品を含むブログ (11件) を見る 監督は、ジャン=ピエールとリュックのダルデンヌ兄弟で、フランスのウィキペディア*1によると、彼らは、ベルギ…

『アレクサンドリア』

アレクサンドリア [Blu-ray]出版社/メーカー: 松竹発売日: 2013/11/27メディア: Blu-rayこの商品を含むブログ (7件) を見る 舞台は、4世紀末から5世紀始めの、392年にキリスト教の国教とし、ローマ帝国最後の皇帝となるテオドシウスの治世における現エジプト…

斉藤なずな「「恋文」―宮澤賢治と保阪嘉内―」

斉藤なずなさんの「「恋文」―宮澤賢治と保阪嘉内―」*1を読んだ。 賢治の諸作品、とりわけ銀河鉄道の夜を、保坂との関係から描いた作品と言える。じぶんも賢治の、いつも 二人であること と さまざまな他(みんな)へ開かれていくことの二つの極の間での揺れ…