2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

 金原ひとみ『蛇にピアス』

金原ひとみの『蛇にピアス』という小説があります。生の「実感」に関して興味深い体験が、そこでは記述されています。 いくつか引用してみましょう。 「(...) 私は彼の舌に魅せられた。そう、私は彼の二手に分かれる細い舌に魅せられた。どうして、あんなに…

斉藤史のことば ――不自由さを生きるということ

おいとまをいだただきますと戸をしめて出てゆくやうにゆかぬなり生は 過日、93歳で亡くなった斎藤史の歌である。彼女の父、斎藤瀏(りゅう)少将は二・二六事件に連座して位階を剥奪され、下獄。彼女の幼なじみは処刑された。このような歴史をともに生きた彼…